映画
映画『ムーンライト』
2017年4月4日
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映画の前に個人的な話をする。

写真に出会ってから、人との出会いが増えたと思う。写真というものを介した人はもちろん、写真に限らず人と出会い、話すことが増えたと思う。

人と出会う。出会うだけでは出会っただけである。その日があって、またその人と出会い、それからも交流する。名前を覚え、たまに思い出す。その人がいつもいる場所があるのであれば、会いたい気持ちのままに会いに行く。

理解。という言葉がある。あの人を理解する。『僕はあなたを理解していますか?』そんな質問をしたことは無い。相手を理解している。と、言い切ることはおこがましいとも思う。ただ、出会い、思い出し、出会う。ということを続けたいと思う。それぞれの個性はそれぞれであり、それぞれに秘密があり、誰にその秘密を明かすかは本人の自由である。

ムーンライトは成長を描いた映画だった。主人公の幼年期、少年期、青年期を描く。セクシャリティについては主人公にとっても作品にとってもポイントの一つだったが、親子、麻薬、いじめなど、その他の問題も交えながらの物語構成に、大きく取りざたされているとは感じず、ある意味それが、それぞれが「普通のことである」ということに感じられて良かったと思う。そのそれぞれが何処にでも起きうることで、起きていて、有る、ということだ。

三部構成で一人の男性の成長を描きながら、演じる人が変わるというのに、それぞれの頃を演じるそれぞれの俳優がとても魅力的で飽きず、三人が一人としてスッと浮かぶ。それはすごいことだと思う。

複雑ではなくシンプルだ。人がいて、人と関わっている。観終わったあと、思い出した顔がたくさんあった。今も思い出す顔がたくさんある。ありがたいことだと思う。