札幌国際芸術祭2017
2017年9月17日
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札幌国際芸術祭2017を見に行きました。見れるところだけでしたが、大友良英さんがゲストディレクターを務めるということで、音楽と大友さんテイストがところどころに感じられる芸術祭でした。テーマは「芸術祭ってなんだ? ーガラクタの星座たちー」。今振り返ると「あぁ!」と思うことも多く、練られ、準備をされていたのだなと思います。

今回は時間も限られていて、ペーパードライバーということもあって、電車やバスを駆使してメイン会場であるモエレ沼公園にも行けず、「札幌芸術の森エリア」「円山エリア」「資料館エリア」を回りました。

 
札幌芸術の森エリア

 
NEW LIFE:リプレイのない展覧会

クリスチャン・マークレー:名前は知っていても、展示を見ることは初めて。作品は初期から今までを網羅したような内容。レコードやPC(ブラウン管)の時代に作られた作品は過去と現在の狭間を見せられている印象で面白かったです。コピー機を使った作品やガラケーを使った作品も、古くもなく新しくもなく(悪い意味ではありません)、僕自身が生きてきた時代ともわずかにリンクして、ちょっと過去な時間が流れていました。スーパーファミコン世代の作品群。

EYE:EYEさんと言えばボアダムス。美術作品も作っていたんだなと。作品はインスタレーション。インスタレーションはパフォーマンス。本人がいなくても作品は「スーパー○○」という印象。ライブのシューっと続いていく感じと、今回の展示作品のジワジワ満ち引きのある構成は通じるものがあるなと思いました。展示空間に一人でいる時間が多く、たっぷりと歩いたり座ったり、寝転んだりしました。通常は展示空間に入る前に目慣らしのサングラスを数分かけてから入ります。今回は時間がなかったこともあり、目慣らしなしで入りました。もう真っ暗で何も見えないところから、だんだんと光が目の中に増えていって、慣れて、自由に歩いて、寝るまで至ったあの時間は贅沢だったなと思います。

藤田陽介:爆音で聴く昆虫音。野外での展示で蚊の多さには参ったけど、作品の印象としては一番でした。何の音かは分からないけど耳元で「ブチュブチュ」言っていました。聞いたことの無い音を聞けました。

鈴木昭夫:耳のマークが施された石板の上に立つ。目を閉じる。耳を澄ます。音を聴く。聞き逃している音が聞こえてくる。普段でもできるけど、できないことでした。

野外美術館:芸術の森の常設展示。ある意味ここが一番の見所でした。屋外に並べられた彫刻。ダニ・カラヴァンの作品はまた見て見たい。
 
 
円山エリア

 
石川直樹展「New Map for North」

展示は1階の暗さが僕の目が悪いのか写真が見えずらく感じてしまい、2階の明るい部屋が、率直な石川さんの写真に合っていると思った。対象をそのまま撮っているという姿勢が気持ちよく感じられて安心した。気になる写真が何枚かあり、何処かへいくことによって出会う状況の数も決まるし、生まれる写真の数にも関わってくる。移動し、撮ることが成せる技だなと思った。同時に展示をしていたアヨロラボラトリーとの共作映像を見ていて、また北海道の中に生きたい場所が増えた。国松希根太さんの作品がまた良かった。作品集が売っていたので購入。今回あまり展示されていなかった彫刻作品がさらに良さそうである。人の手が加わっている部分とそのままの部分。最近はそういうものに惹かれることが多い。
 
 
まちなかエリア

 
OYOYO まち×アートセンターさっぽろ

テニスコーツが好きである。今日も昨日もよく聞いている。さやさん、植野さん。いい顔をした人たちだ。近づけない人。というのがあって、この人たちはまさにそうである。たまにそういう人がいて、なかなか近づけず時間がかかるが、いつか偶然話す機会や何かがあればなと思っている。無理をして近づくと不自然な間が生まれると思っている。この尾の引き方はとても長いのだ。きっと、自分の性分が現れてのことだと思うが、無理して近づかない、いつか近づくときはくる、近づかないこともある。ということは、自分のなかで生まれた人との出会い方としてとても納得している。
この日はテニスコーツを見に行ったものの、夜行バスの時間もあり、テニスコーツの出演時間まで会場にいることはできなかった。だが、テニスコーツの周辺のアーティストなのだろうか、1曲2曲をたくさんのアーティストが弾き語ったり打ち込みしたりを絶えず続けている感じは、芸術祭のテーマであるガラクタの星座たちらしくて良かったと思っている。散らかった音楽、散らかった会場。大友さんも会場に来られていたのだが、芸術祭の会期中は札幌のそこかしこでこう言ったイベントや出来事が毎日起こっている。そんな状況作りは本当にいいなと思った。芸術は展示だけではない。パフォーマンスという決められた時間だけに行い、見れるもの。出来事の創出の連続は演奏家である大友さんあってこそだと思った。
 
 
資料館エリア

 
mima 北海道立三岸好太郎美術館
[開館50周年記念 特別展] 大友良英アーカイブ お月さままで飛んでいく音 + 三岸好太郎ワークス 飛ビ出ス事ハ自由ダ

なにより大友さんの活動を初期から今まで見られたこと。10年ほど前に友人経由で知った大友さん。一人の人の活動としてとても面白い。興味のある人の興味は面白い。聴きたい音楽が増え、読みたい本が増えた。影響は影響を受けるべくして影響されればいい。個人の活動に止まらない映画音楽やドラマ、展示、芸術祭のディレクターまで。経てきたものがあって今がある。創作は面白いと思った。

 
札幌市資料館

札幌市資料館を拠点としたアートプロジェクト:北海道の木彫り熊。200体以上。欲しかった冊子は売り切れで、変なステッカーを買って帰った。

テラコヤーツセンター「土砂」:今回のテニスコーツの本拠地である。テニスコーツの姿はなかったけど、いたんだな、いるんだな、という雰囲気だけでも良かったと思う。雰囲気が残っている。というのも、色々なところで色々なことが起こっている札幌芸術祭らしさなのだと思った。会場に習字の半紙と筆と墨があったので、一枚書いて帰った。自分の札幌芸術祭のゴールみたいで良かったです。