亡き後の現在
2025年6月17日
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東京に行った。空いた時間でPGIに行き、楢橋朝子さんの展示「1961 They Were Standing There」(楢橋國武遺品のネガより)を拝見する。
作者は父である楢橋國武の撮影した古いネガをセレクトしプリントしている。撮影から63年が経過したいま、ネガには劣化とも変化とも、またもや経過ともいえるような新たな痕跡が現れている。今はなきソ連や東ドイツという歴史の変遷と、進歩の果てに劣化をしたとも言える現代の様子を考える事態となり、私自身は明日物悲しく心が痛かった。
ネガフィルムを扱い撮影された頃の写真は今後もこのような形で新たにプリントをして、発表される頃の現代人に向けて多くの問いを残すと思う。
亡き後の現在はこれでいいのか。これは私たちが今扱う写真術にとって、はたまた生きることそのものに向けての写真だったと考えている。