車窓から外を見る。最も心を動かされるのは遠くから近づいてくる植物の塊とも言える森や林である。高速道路や線路、山道を車両が行く時、周囲が森や林一色になる。私はその時、「原始の場所を通っている」と考えたりする。道ができなければ通らなかった場所。現在ではあるが、いつからかそのままにされている、手付かずの場所を通っている。という意味での原始。車両のすぐ横を通って行く木々は目にも止まらず過ぎて行く。像は揺れ、定かではない形状、一瞬の塊たち。私はそれに「きたぞ」と期待を込めてシャッターを切っている。一瞬、原始に触れているとも思うし、写真になったそれは、掴みきれない一瞬の関わりとして、現実的であると思っている。