東京2日目/Gerhard Richter 「ゲルハルト・リヒター展」、Billie Eilish / The World Tour 2022「Happier Than Ever」
2022年9月21日
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葉山から戻ってからは東京国立近代美術館の「ゲルハルト・リヒター展」へ。

平日ながら会場は割と混んでいた。しかし順路が自由となっているため、どの人も思い思いの方向に歩いて行く。そんな展示が増えて欲しいなと思う。順番、順序、整列、様々なルールの中で生きている“感じ”が溢れている。知らず知らずのうちにそれが頭にあって、自分自身も他人に対する自由を奪っていることがあると思う。毎日使うもの、通勤で乗るバスや電車。そんなことに頭を働かせずに頭を和らげて過ごしたいと思う。

リヒターの展示は作品一点ごと、シリーズごと、部屋ごと、点で見ても俯瞰で見ても見応えがあり、作品に対して様々な距離を取りながらじっと過ごすことが多かった。アブストラクト・ペインティングのシリーズの始め、それは展示会場の一番始まりでもあったが、その一作品から随分と長く足を止めた。90歳を超えた作家にとって契機となった一作。色の交わり、偶発された色の軌跡を見ながら、作者がスキージーを引き、生み出された痕跡に打ち震える姿。

展示会場には完成された作品が展示されている訳だが、作品それぞれを見るたびに、まだ筆の後のないキャンバスや、まだ形にもなっていない頃の、リヒターの頭の中(その構想の途中)を思い描きながら見ていた。

 

 

この日の夜はビリー・アイリッシュのコンサートを観に行っていた。

1stアルバムが出た頃にはよく聴いていて、来日が決まってから少し気にはなりつつあと一押しというところで傍観していた。ふとした時に誰かが言っていた今回の機会がどういうものか、そんなことを要約した話に惹かれてチケットの抽選に申し込んだ。当たらないだろう。そんな風に思ったものほど当たったりする。少し慌てながら聴き直すアルバムと、微かにしか聴いていなかった2ndアルバム。

 

ソロアーティストのライブを観に行ったのは初めてだったかもしれない。ライブに行くことが決まってからはYouTubeでライブ映像を見たりしていてライブセットの雰囲気は掴んでいたものの、一人で大きな会場に大してアピールするというのは大変なことだなと思う。曲もよく演奏もよくとても楽しんだが、一人の人間が人を魅了し憧れられて、そこに対してどう振舞うか、楽しませるか、大変な出来事の渦中にあるビリー・アイリッシュという一人のアーティストの人生を考えていた。相当怖い現実のようにも感じられたのだとも思う。

わざわざそんなことを考えたのは何故だろうか。サポートするミュージシャンはギターとドラム。ギタリストはビリー・アイリッシュの実の兄だ。アコースティックな曲から、打ち込みの曲、ラウドな曲、途中で子供の頃のビリー・アイリッシュの映像も流れたり。多くの人と同じように、元々は一つの部屋で過ごしていた人がこうして多くの観衆の前で演奏し歌を歌っている。ステージにいながらどこにでもいる人の空気が何処かにある。境界線の無さ、そんなものを感じる人だった。多くのファンは熱狂していて、そんな空気のコンサートに行ったことも初めてかもしれず、コンサートを楽しみながら、一人の人を見ている気持ちだった。

今もYouTubeにアップされているライブ動画を見ているけれど、これだけ様々な曲調があって完成度が高くて、メロディと歌詞がある。耳に触れた矢先にサビを思い出しすことは本当に凄い才能だなと思っている。もっと歌詞を見ながら曲を聞こうとも思う。