JAPAN UNK RADIO
2021年5月22日
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友人で作家の三保谷将史くんが主宰するポッドキャストラジオ「JAPAN UNK RADIO」に出演しました。

この頃、仕事がリモートワーク中心だったため、仕事をしながらラジオをよく聞いていた。特に三保谷くんのラジオは作家がリスナーを感じさせないような空気で雑談のように話していて、「誰かが話している空気がいいな」と思って特によく聞いていたラジオだった。

自分が出演するとなると正直少し構えるが、リハーサルから本番まで、(もしかして失礼かもと申し訳ないが)何となく始まって、何となく進んでいくこの感じに、何となく飲まれながら自分は出演していたと思う。番組だったのかなと今でも不思議に思うけれど、自分がどんな仕事をしてきて、どんな風に写真を撮ってきたか、現在どう写真を撮っているのかと、3時間以上を費やして振り返る時間となった。

この日を迎える前日、自身の作品との関わりが気になって、自分でも少しだけ振り返ることをしていた。初めに作った作品「Life Works」。気づけば今年で11年目。祖父の庭は伯父が管理することになり、伯父なりの関わりの中で、多様な植物を集めながら存在している。撮影し始めた頃の自分はどうやらしんどかったように思う。写真を撮ることに関してきっかけは掴んだものの、それがどう形になるかも分からず、写真を撮ることと、その頃の周囲に随分と翻弄されながら3年、4年と過ごしていたようだった。

三保谷くんは今年から大阪にあるビジュアルアーツ専門学校で非常勤の講師をしている。そこに通う学生たち、そして見ず知らずの誰かも含めていくつかの質問があった。「写真から感じる湿度について」「人は自然か」「人や自然を撮ることによる世の中への作用について」。

自ら進んで「湿度のある日に撮ろう」と思ったことはない。乾いた日に撮った写真も多分にあるが、それでも「湿度」を人が感じるのはなぜだろうと今も考えている。そこには「とどまること」がどこかに作用しているのではないかとも思う。このラジオで自分が多く言葉にしていたことに「馴染んでいる」「佇んでいる」と言うことがあったと思う。その場所に留まり、場所に馴染んでそのままになったもの。不自然にそこにあったものも、やがてその場にあることが自然になる。植物、動物、から連想する自然。そこにあることが当たり前であると言う意味での自然。その双方を持ち合わさったもの。そんな自然を探してるのかもしれない。

人は自然か。人は自然ではないと思う。私は人であり、私は自然ではないと思う。自然と言う言葉や自然を認識しているのも人だ。人が自然になると、全てが自然な訳で、それはもう自然ではなくなるのではと思う。「(人も含めて)あれは自然だ」と言うのは、地球とは別の世界に住んでいて、地球を俯瞰して見ているような存在なのではと思った。とは言え、自分は自作である「Parallel Leaves」の中でも書いている通り、宇宙というもの自体にさほど興味を持てないので、地球外に住んでいるものとは、のような話についても深く考えるには深く考える前にそっと興味が薄れていってしまうと、ここで関係あるのかないのか考えている。

「人や自然を撮ることによる世の中の作用」。きっとこれはあると思っている。三保谷くんが畠山直哉さんの作品を思い浮かべながら語った、壁を見る時に感じるものやそこに及ぼしたもの。それは工場を撮りそこから生成されたものが、私たちの生活に物質として存在していることを認識させたと言うこと。私自身の作品は、もう少し細かくはない、生活の近くにある、数センチほどの欠片や近所にある場所に対して作用し、新たな理解になることがあればと思っている。

今日は思いがけず、ラップと短歌の話になった。どちらも興味を持ったのは昨年(2020年)だった。新しいものに関わる時は、同時に誰かと関わっていることも多い。どちらも近くにいる人、働く人が機転になっていたと思う。ラップ。一つのグループの話から、接続詞がなくなって、接続詞が音のようになって、単語がパチパチと火花のように、一瞬浮くように発せられて、知らない連なりで、何故意味が通じてしまって、しまうのだろうかって、と、心地よさを感じながら、音源・ライブ映像を行き来してと、意味感じてと言うよりも、未知な言葉の使い方に邂逅したと思って今でも聞いているしだい。気づけばそんな書き方とか話し方になっていることもある気がする。

短歌は世の中や、自分の周りで起こった出来事を言葉で表現する時に、5・7・5・7・7と言う限られた言葉数、その制約でありながら、言葉が連なることによって、想像以上、想像外の世界が出来上がる。「ちょっと待て、何が起こった」「そんなことをあなたは思っていたのですね」と、驚きながら読んでいる。

台本もないまま、雑談のような3時間。自分が自分であるためには毎日考え続けるしかないなと思う。